血が沸くような興奮を覚えている。kurayamisakaの1stアルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』がリリースされた。
最初にその名前を聞いたときは、バンドを調べてみても、ジャケットはイラストでバンド名も曲名もローマ字で、その正体が全く分からなかった。
そういうマーケティングなのかも、海外志向なのかも、今でも調べてないから正直よく分かってはいない。
ただ、色々なところで名前を聞くようになって、曲を聞いて、気付いたらメンバーの姿も分かるようなアーティスト写真があって、あれ、バンドなんだって。
ジャケットのイラストと、曲をちらっと聞いただけだと、誤解に思われるかもしれないけど、本当に得体が知れなかった。
なんというか、AIがやってる音楽なんじゃないかとか、ただただ平熱で淡々と、まあいい曲をやってる何かしらのプロジェクトなのかな、とか。
そんな想像は、ちゃんと曲を聞いてみたら、ブワッと吹っ飛んでいった。それはもう土下座したいくらいには。
最初はフジロックで観ようとしていた。ただ、僕の大大大好きなバンド、トリプルファイヤーとドン被りのタイムテーブルを見たときには、膝から崩れ落ちそうになった。
めちゃくちゃに迷った挙句、大好きなトリプルファイヤーの晴れ姿を観に行った。
速攻で、既に発表されてた極東最前線のチケットを取った。kurayamisaka、今、絶対に観ておきたいバンド。
それに向けて曲を聞いて、ギター3人の轟音サウンドに、手数が多くタム (ドラムには詳しくないけれど)を多用した大迫力のドラムサウンド。
美しくも刹那的な、そしてなんとも儚くて華のあるメロディー。そして、魂を感じる骨太で、それいてそのメロディーを一切邪魔せず、確かにひしひしと曲を支えるベース。
うわあ、めちゃくちゃにかっこいい。かっこよすぎる、これは。平熱感のあるジャケットやバンドの雰囲気に隠れて、いや、隠しきれていない、本物のロックバンドたるド迫力と覚悟を感じるアンサンブル。
あ、本物のロックバンドに出会ってしまった。心をブチ抜かれてしまった。
極東最前線での演奏は予想通り、いやそれ以上に轟音で、最高に本物のロックバンドだった。
ああ、kurayamisaka。やばいですね。こりゃあ、若い人たちがグワーッと熱狂する気持ちが、マジで本当によくわかる。
先日リリースされた『kurayamisaka yori ai wo komete』
作詞作曲をされている清水さんのセルフライナーノーツを読んで、グッときた。
それ以前にもちろんアルバムは聞いてた訳だけど、45分の作品に込めた、”これを曲単位じゃなくて、どうしたらアルバムとして聞いてもらえるのか”
そう考えて作られた背景、その試行錯誤にグッときて、そのあとで改めてアルバムを聞いた。
アルバムがよかったからLPが欲しいな、とか思って仕事終わりに渋谷のタワレコに寄ってみたけど、そんな考えは甘かった。
LPはおろか、CDすら完売で買えないという。その後にHMVへも行ってみたけど、大きくポップの立てられたそのコーナーはすっからかんの更地だった。考えが甘すぎた。
ああ、kurayamisaka。若くてかっこいいロックバンドが頭角を現して、それに若い人たちが圧倒的に熱狂してて。
CDも売り切れで買えない状況に、その圧倒的な人気を感じた。それと同時に、ロックバンドの帰還を感じた。
正直な話、僕にはヒップホップってよくわからない。
いや、もちろんかっこいいなとは思うけど、かっこいいと思うそれは、大抵が背景にロックを持ってることが多くて。
THE BLUE HERBや呂布カルマ、何よりDos Monosを初めて聞いたときには本当にブチ上がって、ライブがある度に行ってた。
そんなDos Monosは、少し活動期間を空けたと思ったら、荘子itはギターを持ってた。ロックバンドになっていた。
だからやっぱりロックが好きで。で、kurayamisakaには、本物のロックバンド然とした迫力と佇まいを圧倒的に感じる。
他にもNOT WONKやノーボアダムズ。若くてかっこいいロックバンドが続々と市民権を得始めていて、あ、これ、彼らを筆頭にロックバンドが完全に熱狂の渦を作りはじめているんじゃないかって、僕は思う。やっぱりロックが好きな僕は、そう思う。
特にkurayamisakaは、ギターロックの申し子じゃないけども。もう、ああいうグワーッ!ってギターをとにかく弾きたくなる。弾いてみたくなる。
って、みんな同じことを思ってるんじゃないかなって。
せっかくリリースされた新しいアルバムについて、上手く言葉にはできてないけど。
なんかもう、本当にもう、とりあえず聞いてみてよ。『kurayamisaka yori ai wo komete』を。本物のロックが、そこにはあるよ。
ロックって、なんかもう最高ですよね。最高ですよね。
そんな気持ちにさせてくれるバンド、改めて思い出させてくれるバンド、kurayamisaka。
バンドって、演奏が上手いだけじゃグッとこない。
で、演奏の上手いバンドって今、まあそれなりにいるとは思うんだ。
ロックバンドって、上手いだけじゃだめなんだ、きっと。
上手いだけのバンドのライブを観たときに感じる虚しさって、なんかあって。
でも、kurayamisakaはそうじゃない、紛れもなく本物のロックバンド。
ライブも、もちろん観てほしいけど、でもまずは。
『kurayamisaka yori ai wo komete』をぜひ聞いてみてほしい。
これ、もう、素晴らしすぎる作品なんだから。
聞き終わる頃にはたぶん、これらの曲を大きい音で聞きたくなってるから。
ライブに行ってみたくなってるはずだから。