予約困難の名店『とみ田』のつけ麺はやっぱり圧倒的に別格だった

ラーメン

僕の出身は松戸だ。千葉県松戸市、どんな街かって聞かれたら、千葉の中でも東京寄りで、都内へのアクセスもわりといい。

あとは、治安の悪いイメージが定着してる。柏に比べたらちょっと渋い雰囲気の街。

 

いちばんキャッチーで色んな人に伝わりやすいのは、「つけめんで有名な”とみ田”があるところだよ」って説明だ。

今やとみ田は松戸に限らず、全国区でその名を馳せる超有名店。カップラーメンや冷凍つけ麺でセブンイレブンで売ってたり。店主さんの顔を、どこかで一度は見たことがあるんじゃないか。

 

気がつけば僕は、年間100杯ペースでラーメンを食べる男になってた。

なんなんだろう、ラーメンの魔力。全てが1杯の丼の中で完結するのに、あまりにも奥深いその世界に、いつの間にか僕は色んなお店を食べ歩くことが趣味になってた。

 

「ラーメンとバンドって一緒だから」

長年バンドをやっていて、圧倒的なラーメンマニアな人のその言葉を初めて聞いたときには、面白い冗談だと思って笑ってた。

 

ただ、今ならその言葉の意味がわかる。スープ、タレ、麺、そしてトッピング。

それらが1杯の丼の中で奏でるアンサンブル、それを口にした瞬間の感動と、かっこいいロックバンドを観て痺れているときの感覚は、けっこう似てるように思う。

 

今回はそんなラーメン、そしてつけ麺界の頂点に君臨するレジェンド『中華そば とみ田』に行ってきた。

最後に食べたのは4~5年前くらい。そのときは今ほどラーメンやつけ麺を食べ歩いておらず、非常に失礼ながらその味の凄さをしっかりと感じ取ることはできなかった。

(もちろん、美味しいつけ麺だなあ、とは思ったけども)

 

時を経て僕の舌は、とみ田のつけ麺に何を感じるのか。

何も感じなければ、ただの美味しいつけ麺。それ以上の何かを感じ取ることはできるのか。

 

いわば自分の舌と感覚の成長を感じてみたい、答え合わせをしてみたいって気持ちもありつつで、ようやく取れた予約の喜びを噛み締めながら松戸に向かった。

 

とみ田へ行くには”OMAKASE”からのweb予約がマスト

お店のシステムについて書かれたページをよく読んだ上で予約にトライ

その前に書いておくと、とみ田へ行くには専用のウェブサイトからの予約がマスト。

思い立って行ってみたりとか、並んで入れるとか、もはやそういうお店ではなくなっている。

(正確には店頭にて朝イチで枠を確保できることもあるらしいけど、その辺りを僕はよく分かってない)

 

毎週火曜の昼12時30分に、専用の予約ページにて先1週間分の予約枠が開放される。

そこから希望の日時とメニューを選んで、予約料 (300円くらいだった気がする)を払って枠を確保する。

 

予約時にはひとまず希望の日時を選んで、その後に表示されるメニューページから食べたいメニューを選ぶ。

このときにラーメンとつけ麺のどちらにするかを決めておくのはもちろんのこと、トッピングの有無や種類についても選ぶ必要があるので、いざ予約に挑む火曜日の12時30分までにその辺りをしっかり読んで把握しておくとスムーズ。

(日時を抑えることができてから、仮押さえとしてメニューを選ぶために5分の猶予があるけど、それ以前にトッピングの種類等をしっかり把握してないと後々後悔する可能性も出てくるから)

 

そうしてメニューまで選んで予約を確定すれば、無事に枠を確保できたことになる。

ただ、そこまで行くのはそう甘くない。なんせ有名店、予約スタートの12時30分になってすぐに日時を選ぼうにも、その先のページまでは回線が混み合っていて繋がらないことがほとんどだ。

 

繋がらずに日時を選び直しているうちに、その週の予約枠が全て埋まってしまう。

僕はそれを2週に渡って繰り返し、3週目も同様で心が折れかけたところで、ようやくメニューを選ぶ仮押さえページにアクセスすることができたくらい。

 

極上のつけ麺を体験するためにも、まずはこの予約枠争奪戦を勝ち抜かなければならない。

 

予約時間に店頭横ベンチに集合。食券を買っていざ入店

無事に予約枠を勝ち取ったのなら、あとは指定した日時にお店へ向かうのみ。

よく晴れた天気の日、松戸駅で降りて徒歩5分のお店へ向かうと、同時刻に予約枠を勝ち取った仲間たちの姿が。

 

店先にいる店員さんに名前を告げて食券機で食券を買う。ウェブで予約を確保したときにメニューを選んではいるものの、そのときに金額が全て引き落とされるシステムではない。

 

基本的には予約時に選んだ通りに食券を買う訳だけど、店員さんに確認をしてみると多少の変更は効きそうな感じだった。

僕はつけ麺の中盛りとチャーシューのみのトッピングで予約をしたけど、麺量を大盛りにさせてもらった。

 

食券を買ってからベンチに座り直して待つこと数分。名前を呼ばれていざ入店すると、キッチンにはセブンイレブンの冷凍つけ麺に印刷されたそのお顔をよく見た店主さんのお姿が。

 

あっ、本物だ。ラーメン、つけ麺界のレジェンドの姿に、街中で芸能人を見かけたときにも似たような感覚を覚えた。

アイドルを好きな人が、推しメンの握手会当日を迎えて本人を目の前にしたとき。そのときの感覚を想像してもらえると良い。

 

その店主さんが、チャーシューを切ったり盛り付けたり、タレとスープを合わせたり、といった過程を全てご自身で行っている。

ラーメンの場合は湯切りもされていた。つけ麺の場合は、奥にいらっしゃる麺上げご担当の店員さんが行っていたように記憶してる。

 

その間にも他の店員さんが、綺麗な丸氷の入ったグラスに水を注いで出してくれる。

調味料の説明や、紙エプロンの有無もひとつひとつ、ここで丁寧に聞いてくれる。

 

店主さんの、一切の無駄のない一挙手一投足を唾を呑んで見つめる。茹で時間の関係かラーメンの方が先に提供される訳だけど、僕の両隣の方々はラーメンを注文されていて。

思わず丼を覗き込んでしまう。「めちゃくちゃに美味そうだな・・・」と、まもなく提供されるであろう自分のつけ麺に想いを馳せていると、いよいよ高揚が収まらなくなってくる。

 

このときの感覚は、好きなバンドのライブに行ったとき、開演時間になって照明が暗転したときの、あのワクワクドキドキを思い出してもらえると良い。

 

トッピング: チャーシューのみ (1,100円)

そうこうしてるうちに、つけ麺を頼んだ僕の前にもまずはトッピングのチャーシューが到着した。

いくつか選べるトッピングの中で今回は、チャーシューのみのトッピングを注文。

 

「TOKYO X」ブランドの豚を使ったチャーシュー。それぞれ違った部位を、違った調理法と味付けで完成させたバラエティ豊かな5種。

つけ麺が到着してからのこと、麺を啜る合間に挟みながらそれぞれを食べてみた。それぞれに調理法や味付けはもちろんのこと、食感や柔らかさ、切り分ける厚さまでを熟考して仕上げていることを想像すると、それはもう血の滲むような努力なんだろう。

 

ラーメンやつけ麺のアクセントとしてトッピングされるチャーシュー。そこに豚の銘柄から上記の全てを考えていることを思うと、改めて食の奥深さに触れる。

この前、僕の「冷蔵庫に豚バラがある」って言葉を信じて、キャベツと豚バラでご飯を作ってくれようとした奥さんに「豚バラじゃなくて豚コマじゃん」って少し怒られたことを反省した。

豚バラも豚コマも変わらないよ、安いからコマの方しか買ってない気がする、って返したことも。

 

ラーメンの違いについては、ようやく少しずつ分かってきたところ。正直、焼肉の部位も僕は朧げにしか覚えてないくらい、今まで食にこだわりのない人生を過ごしてきたんだけど。

ここにきてようやく、そして少しずつ、ラーメンが僕に食の奥深さを教えてくれつつあるから、色々に興味を持ち始めたところだ。

 

つけめん: (濃厚豚骨魚介) 大盛り 350g (2,200円)

それから待つこと数分。店主さんの手元に見惚れているうちに、僕のもとにもつけ麺のスープが到着。

粘度が高くドロッとしていて、見るからに濃厚なそれ。色合いも上品で綺麗。

 

そのすぐ後に麺も到着。線を整えた極太で艶のある、抜群の存在感を誇るそれ。王者の風格を感じる美しさ。

 

店員さんからは「最初は麺をスープに半分だけつけてお召し上がりください。その後はご自由にお楽しみください」との説明が。

スープはもちろんのこと、ぜひ麺そのものの味も感じてみてください、ってことなんだろう。お言葉通りに食べてみると、麺のつるっとした食感がダイレクトに伝わってきた。

 

濃厚なスープが絡みついた麺を口に運ぶと、一気に旨みが大爆発。

数年ぶりのとみ田。数にこだわる訳じゃないけども、年間100杯ペースでラーメンを食べた上で、その凄さを改めて思い知った。

 

濃厚豚骨魚介。確かに言葉の通りなんだけども。そう謳っているお店はいくつもあるけど。

そのどれもとは違う、唯一無二かつ圧倒的な存在感を誇る濃厚すぎるスープ。マジのマジで濃厚で、人によっては「かなりしょっぱい」と感じる人もいるかもしれない。

このスープが口に運ぶ爆発的な旨みに、なんだかもう笑いが止まらない。

「マジかよ・・・」って思いに何度もさせられる。

 

ここまで読んでもらえたら分かるかもしれないけど、食レポをするにはあまりにもボキャ貧ブロガーすぎる。

ただ良い様にまとめるなら、言葉では形容しがたいほどの感動がそこにはあった。言葉にするのは野暮なくらいの。これが圧倒的に他とは違う、王者の味であることは僕にすらよく分かった。

 

まあもういいから、とにかく次の火曜日を待って今すぐ予約にチャレンジしてみてほしい。そんなに上手いこと書けないって。そしたら多分、この気持ちが分かるはず。

 

海苔と柚子を添えた、さっぱり食後のスープ割り

食後の更なる感動が、つけ麺好きにはお馴染みであろうスープ割り。

残ったスープを割ってもらって飲み干すってシステムだけど、ここでも店主さんが直々に海苔をひとつまみ、そして柚子の皮を切って入れてくれる。

 

そうして手元に戻ってきたスープは、先ほどまでの爆発的な濃厚さを持ったそれとは思えないほどにさっぱりとした味わいに変わってた。

食後の温かいお茶みたいなノリでスルスル飲める。ド濃厚なスープに翻弄されていた口の中をすっきりとさせてくれた。

 

フルコースを食べ終えた満足感。体験までを含めたその全てがラーメンレストラン

店主さんの調理工程から店員さんの所作ひとつひとつまで、その全てに満足してお店を出る。

ご馳走様でしたと伝えると、店主さんがお客さんひとりひとりが退店するまで、目を合わせて「ありがとうございました」と心のこもったお礼を伝えてくれる。

 

予約を取ってお店に行って、わずか数席の店内でキッチンに向かったカウンター席に座る。

店主さんの調理工程を見て、出された料理の説明を聞いて、味わって。最後にはスープ割りを堪能する。

 

ラーメンやつけ麺って庶民的な食べ物で、その親近感がなんだか良かったりもするけど、とみ田は日本が誇るその文化を間違いなく底上げした偉大な存在なんだと感じた。

 

これはもはや、ラーメンレストラン。今回の合計金額はつけ麺が2,200円、チャーシューが1,100円で3,300円。

普通にラーメンを食べることを考えたら、高いと思う人もいるかもしれない。ただ、これはもはや比べるようなところではないと断言できる。

 

ラーメン、つけ麺が持つ大衆的な側面もありながら、それらの誇る魅力を胸を張って日本中に、いや世界中に広めてくれる、文化的にも非常に偉大な存在、それが中華そば とみ田。

正直、僕の舌ではスーパーのつけ麺との違いが分からなかったらどうしよう、とか不安も少しよぎった。

 

でもそんなことは全くなかった。圧倒的な王者の風格とその味、進化を続ける妥協なき姿勢にぶちのめされてお店を出た。

そこには次の時間帯で予約を勝ち取った方々がいらっしゃった。どうやら、1時間ごとにお客さんが入れ替わって1回転ということらしい。

 

その列を見ながら、食後の感動のあまり放心状態にもなりかけた。もぬけの殻になりながら、やっとのことで松戸駅まで戻ることができた。

 

とみ田、絶対にまた行きたい。いかんせん予約が取れないその理由が、痛いほどによくわかる。進化を止めないこのお店は、次に来る頃にはまた、もっともっと美味しくなってるんだろう。

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