20歳そこそこの頃、インディゴデニムを育てるロマンに憧れた。
コットン100%、ある程度のオンス数があるもので、理想的なシルエットのものを1本手に入れて、それを履き込むんだって思ってた。
色合いとか生地感が好みのそれを見つけたら、履き込んで育てたいと思ってた。
そうやっていくつかの候補の中から選んだのは、A.P.C.のPETIT STANDARDだった。
細めのストレートシルエットをしたリジッドデニム。最初はリジッドのまま履いて、時々洗って。
2~3年くらい履いて、それなりに深いシワやら色落ちやらが入って、それなりに気に入ってた。
いつからかあんまり履かなくなったのは、スキニーパンツをはじめとした細いパンツの流行が終わったからだった。
トップスのビッグシルエットが主流になる中で、パンツは細身のものでメリハリを付けるスタイルから、いつしかパンツも太めで全体的にリラックス感のあるコーディネートが主流になっていった。
今でも押し入れの中に眠ってるそれ。ごく個人的な偏愛を注ぎ込んだそれは、きっとフリマアプリやリサイクルショップで売るにしても二束三文で買い叩かれるだろう。
かといって、見事に当時からは太ってウエストも大きくなったので、今やボタンをいちばん上まで閉めて履くことはきっとできない。
なんとなくとっておいてある。ああやって色落ちを、経年変化を楽しむのもなかなか楽しかったなって思ってた。
それから時間は経って、今は当時ほど洋服にお金をかけなくなったと思う。
飾った格好はちょっともうできなくて、身の丈にあったリラックス感のある、無理したいスタイルに落ち着きつつある。
仕事もゆるすぎない服装なら私服でもオッケーで、ある程度は自分のスタイルが固まってきたけど、パンツはほとんど毎日同じ、NEON SIGNの黒いチノパンを履いてる。
パンツのカラーにもいくつかバリエーションが欲しいなと思ってたところで、前から目を付けてたのがインディゴデニム。
NEON SIGNのチノはシルエットが抜群に好みで、同ブランドのパンツを探してみると、定番モデルにワイドデニムスラックスたるものがあることを知った。
フロントに2本、大きくタックが入ったワイドシルエット。ウエストはゴム仕様で、太すぎず細すぎず、お尻周りにボリュームのあるシルエットが好みだった。
きっと持ってるDickiesコラボのベージュチノとシルエットは一緒なんだろうと睨んでいた。なんなら、愛用してる黒チノともほとんど同じかもしれない。
定価は確か3万円くらい。定価で買ってもいいっちゃいいけど、定番モデルゆえに中古品も多く出回ってる。
ケチくさいので、マイサイズかつインディゴの、そんなに使用感のないそれが安く出回ってないかな、とフリマアプリやらをちょいちょいチェックしてた。
そんな中で、状態が良くてマイサイズ・・・厳密には持ってる黒チノよりワンサイズ下だけど、それでもまあ悪くはないだろうってものを見つけた。
中古相場は8,000〜9,000円くらいに思えてるけど、それよりちょっと安く6,000円いかないくらいで手に入れられたのでラッキー。
黒チノと並行して、マイ定番パンツとして履きまくろうと思ってた。
NEON SIGNのワイドデニムスラックス、リジッドのそれを手に入れた
定番モデルゆえに何シーズンもリリースされてるけど、どうやら型番はシーズンで分けたりされてないみたいだった。
どれを見ても型番は”0343″で統一されてそうな。タグの色が変わってたりとか、きっとサイズ感やシルエットもマイナーチェンジしてるんだろうけど、どれがいつのシーズンのものなのかまでは把握できなかった。

届いたそれを開封してみると、どうやらリジッドっぽいように思えた。
いや、恥ずかしながらその辺りの判断が付くほどパッと見じゃあんまり分からないんだけど、あの光沢と硬さはたぶんリジッド・・・なように思える。
そうじゃなかったとしても、思ってたより美品が届いた。
思ってたより美品、それもリジッドとなると、ちょっとテンションが上がる。

いやまず、届いて履いてみてそのシルエットの美しさにテンションが上がったけど。
腰回りはしっかりボリュームがあって、裾へ向かってテーパード。まあ、テーパードしてるとはいえ全体的にぼちぼち太めのシルエット。
is-nessの定番、バルーンパンツの黒も持ってるけど、そっちはNEON SIGNのそれに比べて履く頻度がそこまで多くなくて。
シルエットは確かにかっこいいんだけど、太すぎて裾を踏んだり歩きづらかったりっていうのがちょいちょいあって。
何事も適度がいちばん。NEON SIGNのワイドデニムスラックスは、その辺も程よくてやりすぎてる感じがない。
大人の余裕を感じる、普段着に落とし込みつつ、少し面白さのあるシルエット。こういうのを履きこなすような30代になっていきたい訳です。

フロントジップ、トップにボタン。ゆるやかな曲線を描くポケットにリベット。仕様は至ってベーシックなもの。

パッチはレザー、ではなく布製。この辺も気にせず洗濯できる嬉しいポイント。
できることならサイズは48が欲しかったけど、今回手に入れたのは46サイズ。
とはいえウエスト82cm前後くらいの僕にはわりかしグッドサイズ。というか、ウエストにゴムが入ってるのがとにかく嬉しいポイント。
ここにゴムが入ってると色落ちに影響してくるからあんまり好きじゃないって人もいるかもしれないけど。
洗って多少縮んだりしたとしても、そして何より太ったとしても、これがあることである程度は問題なく履けるのが本当にナイス。
シルエットも太すぎず細すぎずで、そんなにすぐに履けなくなるような型じゃないのもいい感じ。
細身のデニムよりもシワだったりは刻み込まれにくいと思うけど、あんまりパキッとコントラストの効いた色落ちが入ったハードな感じよりも、そこまでメリハリはなくともゆるっと色落ちを楽しめればいいかなって思ってるから問題なし。

ポケットはちょい深め、ちょい下め。この感じも少しのストリート感というか、ゆるさを演出してくれる。
ブランドロゴの入った赤いパッチが付いてるのは、恐らく少し前のモデルだと思われる。

ポケットには1本線のステッチ。その上のV字ステッチ、これってちょっとズレてるのかなって思ったけど、どうやらこれが普通っぽい。
そこで重ねて綺麗なV字を作っちゃうと、生地が重なってけっこう厚みが出て座りづらかったりするからだったりするんだろうか。
パキッとした色落ちと生地へのダメージを避けるため、ワンウォッシュしてから育てることに

このデニムは本来、フロントに大きく入ったタックからセンタープレス的に線が入ってるはず。
だけど僕が手に入れたそれには見受けられず。いや、こうやって写真で見るとぼちぼち入ってるように見えるから、まあこんなもんなんだろうか。

それよりも、たぶん何度か履いてしばらく眠っていたのであろう、畳みジワっぽいのがなかなか深く刻まれてた。なんならそれに沿って色落ちしてるくらい。

あとは股下、ここもシワの終着点が少し白くなって、深く折り目が付いてるゆえに少し生地が弱くなりはじめてる。
デニムって意外とこういうところから穴が空いたりするもので。それはちょっと避けたいところ。
こういう状態だったり、あとはこの1本に関してはパキッとした色落ちというよりも、長く履きながら徐々にその色合いの変化を楽しんでいきたいって気持ちから、履き込む前に1回洗って糊を落とすことにした。
それで生地をある程度柔らかくして、気兼ねなく履ける状態にしておく。
この記事を書いてる時点でワンウォッシュが終わって、なんなら履きながら記事を書いてるけど、色落ち具合としては、まあ多少は発生してるところはありつつも、そこまで大きくは雰囲気も変わってない。
糊が落ちて若干、光沢がなくなったように思える。現状、これでなかなかグッドコンディション。
ここから適当に、ぼちぼちのペースで履きつつ思い立ったときに洗いつつ、その経年変化と色落ちを記録していきたいと思う。
デニムの色落ち観測。こういうのって本当にブログ向き。最近は正直、ブログの更新を怠ってたしモチベーションも下がってたけど、こいつがまたブログを書く理由をくれるかもしれない。
という訳でちょいちょい記事にしていくので、楽しみにしていただけると嬉しいです。


