2025年8月25日、テレビ大陸音頭とトリプルファイヤーのツーマン。
テレビ大陸音頭が頭角を表したときに、スカートの澤部さんがXで、トリプルファイヤーと絶対にツーマンをやった方がいいって書いてたのをよく覚えてる。
そのときは僕も、テレビ大陸音頭の曲は「俺に真実を教えてくれ!!」しか知らなかった。
でも、間違いなく親和性のあるツーマンになるだろうと思って、澤部さんのツイートを読みながら興奮気味に首を縦に振ったことを覚えてる。
そんなツーマンが実現した今日、渋谷のSpotify O-nestでそれを目撃した。
テレビ大陸音頭×トリプルファイヤー@Spotify O-nest
テレビ大陸音頭を見るのは、今年2回目。
同じくnestで開催された、Khakiとのツーマン以来。
本当はフジロックでも見ようと思ってた。
ただ、初めて行ったピラミッドガーデンはその他のステージとは圧倒的に隔離された距離で。
そこで見た東郷清丸さんのライブに心が満たされまくった後には全力で走ったって、テレビ大陸音頭が演奏するルーキーアゴーゴーまで間に合うことはなかった。
Khakiとのツーマンが3月だったから、およそ5ヶ月ぶりくらいのテレビ大陸音頭。
その間に彼らは高校を卒業し (というかKhakiとのそれの直前に卒業してたのだと思うけど)、メンバーは全員北海道にいながらも、専門学校に通ってたりするみたいだった。
前回はボーカルの千代谷さんとギターの鈴木さんが (物理的に)激しくぶつかりながら演奏する場面もあったけど、それとはまた違うライブパフォーマンス。
ポストパンクやプログレッシブな展開を感じさせる曲もありながら、真っ直ぐな目で歌い上げるストレートなギターロックもあった。
話題の「俺に真実を教えてくれ!!」の次にリリースされた「夜について」(ちょうどKhakiとのツーマンのすぐ後に配信された)はわりと落ち着いた曲調で。
それが配信2曲目と知る前に「俺に真実を教えてくれ!!」しか知らない状態で行ったライブでも、とにかく表情豊かで色々な曲を演奏するバンドだと思ってた。
ただ、2曲目の配信が「夜について」だと聞いたとき、果たしてこれからどんな路線でバンドは転がっていくんだろうと思ったのも事実。
「俺に真実を教えてくれ!!」に続くような勢いのある曲はもちろん、「ヘヴン!!」と言って始まるあのグルーヴィーな曲も個人的には好きで。
一言でその魅力を語るにはあまりにも特筆すべき点が多すぎる、まるで色んなおもちゃが入った宝箱のようなライブをするバンド、テレビ大陸音頭。
「夜について」のような曲も、真剣にやってるのかふざけてやってるのかが、いい意味でけっこう本当に分からない。
その懐の深さやキャラクター性もバンドの大きな魅力。ぜひ話をして、音楽的なルーツとかを聞いてみたいものだけど。
いやきっと、僕の知らないバンドの名前ばかりが沢山飛び出してきそうな気がするけど。
テレビ大陸音頭のそれらは、きっと分かりやすいものばかりじゃないようにも思えてる。
それは僕が一聴してかっこいいと思いつつも、その魅力を心の奥底でまで咀嚼してグッとくるところまで持っていけていない、70-80年代くらいのポストパンクバンドが多いように勝手に思ってもいる。
一聴して決して分かりやすい部類じゃない音楽だけど、それにグッとくるところまで咀嚼して魅力を感じたいと思っているものが、いっぱいあるけどそれらはそのうちのひとつ。
これは、個人的には大きな宿題でもあるかなとか思ってもいる。
これだけ色々な曲を演奏しながら、それでも埋もれない圧倒的な個性を感じるのは、その独特の訛りや”節”にあるような気がしてならない。
前情報として北海道のバンドってことを知ってたからかもしれないけど、そう聞いて「ああ、なんか分かる」と思うのもきっと気のせいじゃない。
なんだか大学生の頃、私服で学校に通いはじめて、それまでそんなに服に興味がなかった僕は自分がどんな系統の服装に惹かれるのかも、あるっちゃあるけど明確には分からなくて。
なんとなく「ああいう服装をしたい」って憧れと「ああいう格好をしてたらかっこいいって思われそう」っていう理想と。
一応その理想に向かってはいくけど、自分が本当に好きなものはそこではないことに薄々気付き始めたりもして。
かといって、ひとつ「こういう系統が好きだ」っていうのを持っていてこそかっこいいし、そこを突き詰めたい気持ちもあったけど、好きなものはあれこれあって。
日によって違う系統の服を着ながらも、でもどれも好きで。ただ、ひとつを選んで極めて愛し抜きたい気持ちはあって。
自分の気持ちと理想がバラバラに別れていたあの頃の自分をちょっと思い出すところもあったというか。
勝手に偉そうに重ねてるけど、それならそれで自分らしい。そう思って覚悟を決めてるというか、受け入れているような姿勢をテレビ大陸音頭の音楽には感じた。
この歪な形のまま転がり続けたって最高にかっこいいし、ふと垣間見えた真っ直ぐなロックンロールの配分が増えていったって最高だ。
いずれにしたってこれからも注目で目が離せない、若くして最高にかっこいいのがテレビ大陸音頭。
圧倒的な勢いのある演奏を終えたテレビ大陸音頭の後で、転換の準備をしてそのままぬるっとステージに4人が揃ったトリプルファイヤー。
フジロックでももちろん見に行ったそのライブ。個人的に大好きで「好きなバンドは?」って聞かれたときに、その質問を振ってくれた相手の趣味や何やらを考えたり「いや、好きなバンドって本当にいっぱいあるし・・・」と悩みながらも、やっぱりそこに間違いなく入ってくる僕の大好きなバンドがトリプルファイヤー。
キーボードやフルート、パーカッションを入れない4人体制のライブを見るのは久しぶりだった。
心なしか4人で挑むテレビ大陸音頭に、同じくバンド4人で挑む姿勢のようにも見えた。
サポートメンバーを加えた、どこか独特な、だけど華やかさのある最高にグルーヴィーなライブも大好きだけど、久しぶりに見たバンド4人のライブはトリプルファイヤーなりのロックンロールだった。
セットリストも「トラックに轢かれた」や「神様が見ている」「本物のキーホルダー」などを交えた、初期のバンドをも彷彿とさせるもの。
そこにアルバム「EXTRA」の曲はもちろん、未だ音源化されてない曲も交えた、まさに新旧曲が同居した深みのあるセットリスト。
未音源化の曲も最高に格好良くてこれからの展開が本当に楽しみ。
そしてそして何より、これまで何度もライブで演奏されてきた曲の数々だって、聞くたびにアレンジが変わってるのがトリプルファイヤーの織りなすライブが持つ魅力のひとつ。
「全国大会」なんて最初は違う曲かと思うほどだったし、ライブでブチ上がる「スキルアップ」も、しばらく演奏されなかったかと思えば大幅にアレンジを変えて帰ってきた。
今までの演奏ではもちろん、というか音源の時点でだってかっこよかったのに、それが更に更にアレンジを変えて帰ってくる。
演奏だけじゃなくて吉田さんによる歌詞も、最新アルバムである「EXTRA」に入っている曲たちのそれですら変わっていたり。
とにかく見るたびに最高にかっこいい、最高を更新し続けているトリプルファイヤー。もう、本当に大好きなバンドだ。
こういうツーマンだとアンコールはないかなと思いきや、トリプルファイヤーの4人とテレビ大陸音頭の千代谷さん、鈴木さんが登場。
それぞれ比較的系統の近いバンドだから、ということで2組揃ってアンコールに登場。そしてそれぞれが「一緒にやりましょう」と提案した曲が全くバラバラだったことから、2曲を演奏してくれることに。
トリプルファイヤー側による提案、INUの「フェイド・アウト」と、テレビ大陸音頭側による提案、井上陽水・安全地帯の「夏の終りのハーモニー」を演奏してライブは全て終了。
いつかどこかで、きっと実現されるだろうと誰もが思っていたであろうこのツーマン。
テレビ大陸音頭を一聴して思ったのもそうだけど、Khakiとのツーマンで千代谷さんがトリプルファイヤーのTシャツを着てたから「そりゃそうですよね!!」とテンションがブチ上がってたのもいい思い出。
それぞれ圧倒的な個性を持ちながらも、どこか親和性のあるツーマン。
フライヤーのアートワークもかっこよかった。とても最高の夜だった!!