映画『神は見返りを求める』を観て

カルチャー

昨日、今日と連休。仕事柄、連休っていうのはそんなにない。

1日だけの休みでも、最近は何しようかな、何もすることないな、と自分の空っぽさに虚しくなることがある。

 

とりあえずまだ食べに行ったことがないお店にラーメンを食べに行って、そのついでに街をぶらついて。

そうやって自分の中で、なんとか余っているエネルギーと満たされない好奇心を少しばかり満たしているつもり。

 

ただ、時々お昼まで寝てもだるくて動けない日もある。そういう日もあるって思いながら、1日を無駄にしたような気持ちに虚しくなる。

まあ、結局こう思うのは20代前半の頃から変わってない。こういう人間なんだし、そろそろ受け入れていかないと楽しくないでしょ、とも正直ちょっと思う。

 

そんな日を無駄にしないために、家から出ないにしたって何かしら新しいものには触れたい。

性格上、昨日よりも何か学びだったり、新しいことを知っていないとどうしても虚しい気持ちになってしまう。

 

SNSで見かけた、なんだか話題になっていそうな映画を見た。なかなか現代的というか、今のご時世を憂いてしまうような瞬間もある作品だった。

 

神は見返りを求める (2022年)

今は音楽でもなんでもそうだけど、おすすめの食べ物や映画や音楽なんかを、上手に紹介する人がいっぱいいる。

みんなその作品に興味を持たせるように紹介するのが上手いから、見かけると、とりあえずいいねを付けて保存しておく。

 

そうやって昨日あたりに保存してたのが『神は見返りを求める』って映画。

邦画の、いわゆるエモさというか、そういうのを感じさせるような作品っていうのは、30代も近くなってからあんまり見なくなっちゃったけど。

 

この作品はそうじゃないというか、僕くらいの年齢でも「あっ、若すぎて眩しいかも」とか「昔はそうやって思うことあったけど、もうその年齢じゃないかも」とか、思わずに見られるような。

 

ざっくり書いてみれば、主人公の河合優里 (役: 岸井ゆきの) は会社で働く傍ら、YouTubeに動画を投稿してる。

その内容は、分かりやすくいわゆる”底辺YouTuber”な訳で、チャンネル登録者数は伸びず。

 

いわゆるこう、センスがないことに自分でも気付いてないタイプというか。

ただ、それってまあ本人は悩むのかもしれないけど、そういう人って大抵の場合はそれでも楽しくやってるような気がして。

やってることそれ自体が楽しいから、伸びないことにはそこまで悩みを抱えてないイメージで。

 

そこに、「まあ、これじゃ伸びないのは確かにな」って思いながらも、本人が楽しくやれるなら、的な感じで手を差し伸べる田母神尚樹 (役: ムロツヨシ)

優里ちゃんは26歳、田母神さんは見た感じ40代くらい。田母神さんも、決してセンスのある類じゃないけど、2人で楽しく動画撮影をしてる感じが微笑ましかった。

 

ふと、知り合いの紹介で有名YouTuberと知り合う優里。そこからは動画のコラボを行ったりで自身の人気も鰻登り。

動画周りのサポートをしてくれる仲間も増え、田母神さんと2人でアットホームに行っていた動画撮影とはガラッと周りの環境も変わっていった。

 

人気YouTuberの仲間入りをした優里と、徐々にすれ違っていく田母神。

売れていて田母神さんと距離ができるのも自然っちゃ自然なのかもしれないけど、そこで自身に起こった金銭的な問題もありつつ、優里に”これまでに尽くした労力の見返り”を求めるようになる。

 

田母神は顔を隠して、これまで近くにいたゆえに知り得る優里のエピソードを覆面YouTuber”GOD-T”として暴露しはじめる。

優里側の企画として、GOD-Tを呼んでの撮影も行うけど、いわゆるそれは暴露系YouTuberといったビジネス的ポジションじゃなく、わりとマジなもの。

 

最初は穏やかだった田母神さんが、切り捨てられたことや身に起こった金銭的なトラブルを機に、優里にいつまでも過去の細かな見返りを求めつづける。

 

登場人物の感情にフォーカスを合わせど、気になる現代の倫理観

映画の感想として、登場人物の関係図を見ながら思うことも、あるにはある。

ただ個人的にはこの映画の感想として最初に出てきたところは、やっぱり今の時代のモラル、ちょっと心配なんだけど、っていうところ。

 

いや、どう考えたっておじさん的なコメントでしかないんだけど。

ただ、これはネタバレにはなっちゃうけど、過激な動画の企画で優里ちゃんが入院したとき、その病院でもカメラを回すYouTuber。

 

看護師さんに注意されて動画をストップする訳だけど、友人が深刻な状況にある中、病院で”今、優里ちゃんの病院に来てるんですけど”と動画を回すYouTuber。

その感じが「モラル的にやらない方がいいって分かってるけどカメラを回してる」んじゃなくて、素でモラルがない故に「やらない方がいいって知らなかった」ようにしか見えなくて。

 

これって映画の中だけじゃなくて、現代において普通に起こり続けてることだからこそ、なんというかこの作品自体がそういった世の中への風刺のように見える部分も僕にはあった。

皮肉にもその作品がSNSでストレートに紹介されていて、バズってたから知って見た訳だけど。

 

回転寿司の醤油ボトルを咥えて、それをSNSに載せたことでニュースになった件だって実際にはある訳だけど。

本人がそれを「モラル的にやらない方がいいって分かってるけどカメラを回してる」と思ってたのかやらない方がいいって知らなかった」と思ってるのかは知らないけど、

いや、さすがに前者だとは思うし、そうであってほしいとは思うけど。

 

いわばそれが、スマホによって撮影して、いつだってSNSを通じて全世界に公開できる時代だからこそ、なんというかモラルのなさが浮き彫りになる世の中なんだよなって思って。

 

とか書いてるけど、きっと僕が10代や20代前半の頃だって、今こうして僕が憂いているのとは違う部分で「今の若い人たちはこんな感じだけど、これからの日本は大丈夫なんだろうか」って不安に思われていたんだろうとは思うけど。

 

とはいえ、もちろん若い人たちの全員が全員そういった倫理観じゃない訳だから。そうやって一括りにして憂いたりするのはもう辞めよう。

少なくとも多種多様に変化と進化を続けていく世の中で、何か違和感を感じたときに「流石にこれは」と思ったり、中には時々そんな声を目にしたりするけど。

 

そういった意見を見ると「あ、僕の意見と同じ感覚の人もいたんだ、よかった」ってほっとする。

世界の一部を見て全体を批判するようにはなりたくないし、SNSだって自分で見なければいいんだけど。

 

暇だから見ちゃうくらいには僕の人生って充実してないんだなって。

あとは、SNSやらを見てないと、好きなバンドが来日するって情報を見逃して全く知らずにショックを受けたこともあるから、どうも完全には見ないようにするのは惜しくて。

なんというかこう、日々もっと上手い付き合い方ができないかと思ってるところだ。

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