『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』を読んだ。信じた道を貫く芸人の姿に人生を重ねて考える

SNSで流れてきたり、人のおすすめで気になった映画はFilmarksに登録してる。

飲食店は食べログに登録してる。

本は、まだどのアプリを使うのが便利なのかあんまり分かってないところがあって、iPhoneのメモアプリにメモしたり、Amazonの欲しいものリストに入れてたりで、なんかバラバラに保存してる。

 

基本どれも日常的に見返したりはそんなにしてなくて、暇なときにNetflixで見る映画を選ぶのに役立てたり。

行った先にいいお店がないか、食べログを開いて調べてみたり、みたいな使い方をしてる。

 

最近Amazonでセールをやってるから、ひょんなことから自分の欲しいものリストを見返した。

正直それも2~3個くらいリストがあるし、どうやって分けてるのかもうろ覚えだから、ちょっと気になってたモノや本があちこちから出てくるんだけど。

 

ふと見てたリストの中に、前にテレビか何かで見て気になったマンガがあった。

最近は小説は読んでもマンガは読んでなかったから、たまにはいいかもと思って買ってみた。

 

漫画『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』

連続シリーズとかじゃないし、それ1冊で完結するようなタイプのマンガなら、さらっと読める。

そんなこんなでAmazonで買ってみた「死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない」

 

ざっとあらすじを書くなら、ある日ひょんなことから電車のホームから落ちそうな酔っ払いを助けて死にかけた主人公がいる。

彼は芸人を続けてそれなりにキャリアも積んで、一時は注目を集めたけど爆発的に売れきるところまではいかず、今は劇場を中心に活動してる。

 

それだけじゃ生活していけないどころか、バイトしないと生活もできないゆえに、芸人の仕事よりもバイトの方が占める時間は多くなってしまっている。

そんな状況の中で、自分が面白いと思っていた先輩が芸人を辞めていく姿を見たり、自分よりも先に売れていく後輩が増えていったりする中で、自分の芸風にも葛藤する。

 

自分の理想の芸人像はどんなものなのか。自分が信じる面白いものって一体何なのか。

きっと多くの芸人さんが考えてきたであろう、シンプルでありながら究極の問いに向き合っていく主人公の姿が描かれている。

 

作者のナターシャさんも芸人さんとのことで、半自伝的なリアリティーもある。

読みながら自身の人生についても考えさせられる、柔らかな画風でありながらもグッと深くのめり込んでしまう漫画作品。

1冊読み切りでサクサク読めてしまいながら、内容がとても濃い。

 

自分にとっての幸せって何なのか。何を信じてそれを続けるのか

芸人さんっていうのはコントとか漫才とか芸風は色々あるけど、特に漫才なんていうのはマイク1本を挟んで喋りだけで人を笑わせる。

音楽にはかっこいいとか、落ち着くとか、共感できるとか、かわいいとか、それこそ面白いとか、受け手にとって色んな受け取り方がある。

 

対してお笑いっていうのは、基本的には面白いっていうのが評価される軸、ただそれだけ。

人を喜ばせたいとか、お金を稼ぎたいとか有名になりたいとか、その道を選ぶ理由には色々あると思う。

 

それは芸人って仕事だけじゃもちろんなくて、どんな仕事を選ぶ人にも、その仕事を選んだ理由っていうのは色々あるだろうけど。

職場が家から近かったからとか、給料が良かったからとか、はたまた好きだからとか、本当に色々。

 

かくいう僕は今、会社員として週5日働きながら、こうやってブログも書いてる。時折誰も見てないようなnoteも書いてる。

仕事だって楽しいけど、毎日同じことの繰り返しであっという間に日々が過ぎていってしまう感覚がある。

 

あっという間に毎日が終わり1ヶ月が過ぎ、半年が経って1年が終わる。

まあ楽しいっちゃ楽しいけど、アジカンが歌うようにゆるい幸せがだらっと続くような人生。

 

それはそれでいいのかもしれないけど。

仕事をぼちぼち楽しめてる時点でまあいい方なのかもしれないけど。

 

ただ、はっきりとは分からないけど、なんとなく自分の自己実現のためにはこうやって思ったことを書く場所がどうしても必要なんだと思う。

職場で趣味が合う人もそんなに多くなく、自分の話をそこまでするでもない。

思ってることを人にはっきり言えるタイプでもない。

 

どこかで考えてることを外に出さないと、どうしても息苦しさを感じるというか。

何かしらを書いて吐き出したりアウトプットしないと、自分らしさというか自分の存在というかをどこにも残せない気がしてしまって。

 

っていうのがこうやってブログを書く根源にはきっとあって、だから働きながら少し早起きした日とか、休憩中とか、こうやって書いてる。

 

それも自分がどこに楽しさを見出して、どうなりたいかっていうのもあるけど。

せっかく書くなら沢山読まれて、なんなら僕自身にスポットが当たるような記事だってもっと書いて、かけがえのない存在になりたい気持ちだってある。

そうやって文章で自分の人柄や輪郭を映し出して、自分で自分の仕事を生み出すようなフリーランス的な生き方をしたい気持ちだってある。

 

強いて色々書けるジャンルといえば、っていうので洋服を軸にしてブログを書き始めたけど、本当は僕自身が「視線が面白い人」認定されるようなものにしていきたい。

この人が触れて面白いと言ってるものなら間違いないと思われるような、そんな存在になっていきたい。

 

それはストリップのようなカルチャーはもちろん、映画や音楽、本から日常的に体感できる小さな出来事だって。

それがモノや人なら、僕自身が応援したいそれらに対して、多くの人の興味関心を獲得できるような働きをできるようになったら最高だな、とも思ってる。

 

対して自分の企画したものが大衆的に読まれ、いわばアクセス数を獲得したり、もっと分かりやすくバズったりするところに面白味を感じる感覚だってある。

こういうキーワードで狙って書けば、多くの人に読んでもらえるだろう。って考えて書いた記事が数ヶ月後に結果を出したりしても、それはそれで楽しさを感じる。

 

こういうふたつの感覚を併せ持ちながら、自分が楽しいと思えるバランスでブログを運営して自己実現をできたら理想的な訳だけど。

 

目線が面白い人になるには、初動的なアクセス数は見込めなくても、パイは小さくても刺さる人には刺さるような内容を。ただ、自分が面白いと思ったことを熱量高く伝える感覚を。

アクセス数を増やしていきたいなら、それとは逆で多くの人から需要がありそうなキーワードを元に記事を書く必要がある。

 

前者の場合、長い時間を積み重ねてようやく結果が出るもの。いや、というか時間をかけたところで出ない可能性だってあるもの。

後者の場合は結果が出たとして多くの人が集まっても、その数字は僕自身に対してっていうよりは、情報に対するもの。

 

どっちが理想的か。どっちも狙っていく面白さはあるし、楽しさだってある。

そこをどう貫いて自分だけの個性の輪郭を描くかっていうところも大事だけど、大前提として自分が楽しくやれることがまずもっとも大事。

 

何を信じてどこへ行くのか。進む道は自分にしか作れない

この作品を読んで、それは芸人の世界でも同じことなんだと思った。

自分が「これは絶対に面白い」と思うものを信じてやり続ける人、それで結果を出す人。

自分が「これは絶対に面白い」と思うものをやり続けてるけど結果が出ずに「果たしてこれは本当に面白いのか?」と疑心暗鬼になる人。

 

「どこかに自分と同じ感覚の人がいるはずだ」と思ってそれを続ける人。

はたまた、その結果は誰にも分からないけど、自分の思う「これは絶対に面白い」が、大きく的外れなままの人。

 

「これが絶対に面白い」と思うものを、自分の感覚を信じ切るには強さと勇気と覚悟が必要だと思う。

「本当はこれが面白いと思うけど、こっちの方が売れそうだからこっちをやろう」と、自分の信じるそれは持ちつつも許容できる範囲で大衆側に振る人。

 

「売れなくても結果が出なくてもいいけど、俺はこれが面白いと思うし心底好きだから、これを絶対に貫いていこう」と思う人。

芸人さんにだってもちろんきっと色々様々な考え方を持っているし、例えば家族ができたことをきっかけに自分が一番に守るものを変える人だっていると思う。

 

YouTubeか何かで見た、マヂカルラブリーの野田さんが憧れる芸人さんの話が印象に残ってる。

野田さんは確か、憧れる芸人にランジャタイや真空ジェシカ、永野さんを挙げてた記憶がある。

 

マヂカルラブリーだってM-1で「漫才じゃない論争」を起こすようなネタをやりつつも優勝して、その時点でものすごいし僕はとても好きな芸人さんだけど。

その野田さんが、自身よりももっと自分の信じる芸風を貫いてる芸人たちとして挙げたのが上の3組 (ランキング形式で他にも沢山挙げていたけど) だった。

 

野田さんはどこかで自分の信じるそれを大衆側に寄せたのかも分からないけど。

というか大前提として「これをやったら今より幅が広がる」と思える、大衆側に振るにしてもまた、その感覚が鋭くないと”売れる”なんて到底難しいことだから、寄せたところで圧倒的な結果を残してることもまたとんでもない才能だけども。

 

最終的にはどこを目指して、どうなっているのが幸せなのかっていう問いに、誰もが直面するように思えた。

売れなくたって自分が面白いと思うことをやってれば、その時点でもう幸せな人。

売れてお金を稼いでテレビに出たりお金を稼いだり、かわいい女優さんと共演したり仲良くなることを夢見る人もいるかもしれない。

 

自分にとっては何が幸せで、自分の信念を貫き通せて、自分で自分のことをかっこいいと思えるのか。

またそれが芸人さんにとってはかっこいいだけじゃ結果は出なくて、面白さっていう結果も付いてこないと”売れる”にはならないところが難しいように思える。

 

これが音楽なら「いわゆる”売れて”はないけど確実にやばい、かっこいい人たち」みたいなバンドが、何十年も小さなライブハウスで演奏し続けてたりして、それもまた見ていて涙が出るほど感動したりもする。

 

自分の人生に向き合って、真剣な問いを向けるきっかけを与えてくれる1冊

結局のところ、自分にとって何が幸せなのか、っていうところが一番大事。シンプルだけど奥の深い問いからは逃げられない。

僕だって理想はありつつも、それがどんな形なのかすらまだ不透明。それがハッキリしたところでどんな選択肢を取って、それ以前に努力をできるのかだって正直分からないかも。

 

っていう生き方をダラダラしてたらあっという間に30歳。このままゆるい幸せをだらっと続けていくのか、自分への問いを繰り返しながら自己実現を目指すのか。

どういう生き方を選ぶのか、ダラダラしてたらおじさんになって「あのときはこうだった」って過去の自慢話しかできない、僕のなりたくないおじさんにしかなれないぞ。

 

僕は芸人さんじゃないはずなのに、読みながら自分の人生についてもハッと考えさせられるシンプルな問い。

今一度それを自分に突きつけて、自分で自分のことを認められるような生き方をしていきたい。

 

ふと買ってみた1冊だけど、そんなことを改めて真剣に考えるきっかけをくれた漫画作品だった。

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