大学生の頃はSAINT LAURENTやDior HOMME、GIVENCHYが世代的に流行った。
さすがにそこまでのお金を出せる人もそういなかったし、LAD MUSICIANやJOHN LAWRENCE SULLIVAN、MIHARA YASUHIROなんかが人気だった。
周りのお洒落な同級生はみんな服装が真っ黒。
今でこそ「結局は自分が好きで似合うものを」って思えるようになってきたけど、当時はなんとなく流行に乗るというか、やっぱり黒い服を着てた方が最先端なのかな、って思ってた。
そんな中で自分もその流行りに付いって夢中になってはみるけども、1~2年くらいで無理はしてないけど、ブラウンとかカーキとか、アースカラー系とか。
シルエットもスキニーパンツよりも、ゆったりした民族的な、まではいかないけどリラックスした雰囲気のもの、の方が好きな自分が顔を出してきた。
で、好みとザ・世間の中心的なところ、そのどっちを追うかで迷ったというか。人目を気にしてた部分もあったというか。
そこで結局のところ無理はせず、自分の好きなものを求め続けるようにしたからこそ、色々と豊かな今がある気だってしなくもない。
流行を真っ直ぐに追い続けてたら、耳に入る音楽だってもっと世間を賑わせてるそれになってたかもしれないし。
ただ僕は、自分の好きなものを追いかけ続けられることが幸せで。それが自分らしさであって、そこへの熱狂があることは本当に確か。
・・・話を戻すと、だからやっぱり学生の頃ってCOMME des GARCONSやYohji Yamamotoへの憧れはあった。
結局BLACK COMME des GARCONSのシャツを1枚買ったことがあるくらい。歳を重ねるにつれて洋服に掛けるお金も熱量も少しずつ落ち着いていった。
この前、池袋のkindalにふらっと行った。
するとCOMME des GARCONS HOMMEのシャツを見つけた。
ギャルソンって中古だと勝手なイメージだけどXSやSサイズが多い気がしてて。
サイズも合わなければ、予算的にも合わないことが多いので手を出さないことが多かった。
何よりCOMME des GARCONS HOMME PLUSとかだと、服としてのデザインはかっこいいけど、アヴァンギャルドすぎて実際に着ることはできないなって思ったり。
COMME des GARCONS HOMMEのストライプ切り替えシャツ
学生の頃はちょっと無理してでもHOMME PLUSを着て、個性的な自分を演出したかったし、周りにも自慢したかったかもしれない。
でも大人になった今思うのは、僕はもう少し素朴なものや身の丈、自分のキャラクターに合ったファッションが好きだということ。
身の丈に合ったというと何だかまろやかじゃない言い方かもしれないけど、最も自分らしさが輝ける格好というか。
確かに最先端のモードファッション、流行の最中にあるスタイルはかっこいいけど。できればその渦中にいたい気持ちも少しはあるけど。
ただ、そうじゃなかったとしても自分に似合うもの、らしさのあるもの。それを見つけて磨いていけば自分らしく輝けるんじゃないかって。
ってニュアンスで、HOMME PLUSはちょっと着れないけど、普通に服を見てた中でシンプルにいいな、と思ったのがこのシャツだった。
詳しくないけど、こういう切り替えデザインの始まりは違うブランドなのかもしれない。
それでもどこかギャルソンが得意とするパターンのひとつであるイメージはあって。
デザイナーズブランドが作ってるからこそカジュアルブランドも取り入れてたりするデザインだとは思う。
だから正直、パッと見たときは「これがギャルソンである必要はないのかもな」って思ったけど。
ここまでくるともはや、ブランドネームを買ってるのかもしれないけど。
もう少しカジュアルなブランドのそれをまじまじと見てないから、そっちがどこまでの作り方をしてるのかを見ながら比較するのは難しいけど。
「COMME des GARCONS HOMME」に関しては比較的落ち着いたデザインなイメージはあった。
ただ学生の頃の僕からすると、それは「ギャルソンなのにこんなにシンプルなのか」とか勝手に思ってて。
それが今は、完成された大人っぽさの中に少しのユーモアを交えたような、その絶妙なバランスと洒落っ気に憧れもある。
このシャツをブランドネームに惹かれてとか、ギャルソンを着るために無理をしてとかじゃなく、シンプルに「いいな」と思って手にとれたことがなんだか嬉しい。
無骨なミリタリーシャツと上品なストライプシャツの組み合わせ
あんまり批評家っぽい書き方をするのは好きじゃないけど。それ以前にできないけど。
この服をいいなって思った理由のひとつは、ここ数年でストライプシャツの落ち着いた雰囲気を受け入れられるようになってきたから、っていうのもきっとある。
ただ正直、王道のストライプシャツをストレートにかっこよく着こなせるだけの器は僕にはまだない。
そこで少し変化球的なディテールを加えたものの方が、ユーモアとリラックス感のあるファッションに惹かれる僕の好み。
このシャツは上部だけを切り取った上の写真で見れば、落ち着いたブルーのストライプシャツ。
しかしその真ん中にミリタリーシャツのディテールを思いっきりドッキングしたデザイン。
これが大胆でありながらアヴァンギャルドではなく、ユーモアを感じさせる作りになってるのが素敵。
さらっと着られて上品な、それでいてシンプルになりすぎないのは本当にさすが。
胸ポケットはスナップボタン仕様。
ストライプ生地もいわゆるオックスフォードって類なんだろうけど、ミリタリーシャツ部分はツイル的な生地感で、少し艶がある。
生地の艶感もこれらで異なるから、メリハリの効いた表情に。
裏側から見るとこんな感じ。縫い合わせてる様子が見える。
細かいところだけど、ミリタリーシャツのディテールを取り入れてる部分だけボタンホールのステッチカラーも揃えられてる。
こういう細かいところまで凝ってるのを見ると、良質なブランドって感じがする。
裾もミリタリーシャツと同じカーキカラーのステッチで切り替え。なんとなく統一感が出て、綺麗なだけじゃない印象に。
ボタンもブランドロゴが入ったオリジナル仕様。
内タグには各種ボタンのスペア付き。
服のタグにスペアのボタンが付いてるのってなんか好きで。よくわかんないけど。
ちなみに後ろは切り替えらえておらず、シンプルなストライプシャツの見た目。
ただ、後ろから見ても裾のステッチは程よいアクセントになってくれてる。
デザイン性は控えめでありながら、大人の遊び心を感じる上品な雰囲気の1枚。
無理せず背伸びしすぎず着れるから、太って入らなくなったりしない限りは長く着れるんじゃないかと思う。
もういい年齢な訳だし、いい作りの服を少しずつ集めていきたい。
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